1日の適切な摂取カロリーって?体格に合わせた計算方法!

公開日:2025/09/04 / 最終更新日:2025/09/04
カロリー(エネルギー)とは
「カロリーってそもそも何のことだろう?」
何気なく
カロリーという言葉を使っていても、
何を表しているか
よく分からないという方も
多いのではないでしょうか。
カロリーは
ヒトが食事などから摂取し、
生命を維持したり
体を動かしたりするのに消費する
エネルギーの単位です。
1cal(カロリー)は非常に小さいため、
通常はその1,000倍である
1kcal(キロカロリー)を
最小単位として用います。
エネルギー源になる栄養素には
炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3
種類があり、
これらはまとめて
エネルギー産生栄養素と
呼ばれています。
これらから産生される
エネルギーの量を
「エネルギー摂取量」といい、
一般的には
「摂取カロリー」と呼ばれています。
一方で
ヒトが消費するエネルギーの量を
「エネルギー消費量」といい、
一般的には
「消費カロリー」と呼ばれています。
なお、
消費カロリーは基礎代謝、
食事誘発性熱産生(DIT)、
身体活動の
3種類に分けられます。
基礎代謝とは
安静な状態で呼吸や心拍、
体温維持など
生命維持のために消費される
必要最小限の
エネルギーのことです。
また
食事誘発性熱産生とは、
食後に
栄養素を分解する過程で生じる
エネルギー消費のことです。
身体活動とは
文字どおり体を動かすことを意味し、
日常生活の動作と
意図的な運動に大きく分けられます。
一般的には、
総エネルギー消費量に対し、
基礎代謝が約60%、
食事誘発性熱産生が約10%、
身体活動が約30%を占めていると
いわれています。
摂取カロリー(エネルギー摂取量)と
消費カロリー(エネルギー消費量)が
同程度であれば
体重は変わりませんが、
このバランスがどちらかに偏ると
体重が増減します。
摂取カロリーが
消費カロリーよりも多い場合は
体重が増加して
肥満につながります。
また
消費カロリーが
摂取カロリーよりも多い場合は
体重が減少して
痩せにつながります。
ここからは
1日にどれくらい
カロリーを摂取すれば良いのかについて
解説します。

1日の推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)
「1日にどれくらいカロリーを摂取すれば良いのかな?」
「ダイエットしたいんだけど、
どこまで摂取カロリーを落とせば良いんだろう……」
ご自身が1日に
どれくらいカロリーを摂取すれば良いのか、
よく分からないという方も
いらっしゃいますよね。
1日の推定必要カロリーは
(推定エネルギー必要量)
体格や
日々どれくらい
体を動かしているかなどによって
変わります。
また
現在の体重を維持したいのか、
目標とする
体重があるのかによっても
変化します。
このため、
ご自身の
1日の推定必要カロリーを知るには、
まず
身体活動レベルを把握することが
重要です。
身体活動の強さは
以下のとおり
3段階の「身体活動レベル」で
表されます。

ご自身の身体活動レベルが
どれに当たるのか
チェックしてみましょう。
なお
厚生労働省は、
肥満やそれに伴う
生活習慣病の発症・重症化予防の観点から
身体活動レベルⅠは
望ましい状態ではないとし、
身体活動量を
増加させる必要があるとしています。
ここからは
身体活動レベルを元に、
1日の推定必要カロリーの計算方法を
詳しく解説していきます。
1、標準的な体格の場合
厚生労働省によると、
標準的な体格の方の推定エネルギー必要量は
以下のとおりです。
【推定エネルギー必要量(kcal/日)】

この際の標準的な体格は、
以下の日本人の
平均的な体重をもとにしています。

このため、
標準的な体格よりも大柄な方、
小柄な方では、
前掲のカロリーを摂取していると
体重が落ちたり、
反対に
増えたりしてしまう
恐れがあります。
ご自身の体格に合った
摂取カロリーを知りたいという方は、
次の項をご覧ください。
2、自分の体格に合ったカロリーを求める場合
「自分の体格に合った摂取カロリーはどれくらいだろう?」
このように気になっている方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
ご自身の体格に合った
摂取カロリーを知りたい方は、
体重1kg当たりの推定必要カロリーを用いて
計算してみましょう。
現在の体重に、
以下の表から該当する
性別・年齢・身体活動レベルが当てはまる
体重1kg当たりの
推定必要カロリーを掛け合わせて求めます。
【体重1kg当たりの推定エネルギー必要量(kcal)】

算出された値が、
現在の体重を維持するのに必要な
1日の摂取カロリーです。
例えば
身体活動レベルが普通(Ⅱ)に当たる
20代女性で体重が50kgの場合、
1日の推定必要カロリーは
38.7(kcal)×50(kg)=1,935kcalとなります。
これを
1日の摂取カロリーの
目安とすると良いでしょう。
3、目標体重を目指す場合
「最近おなか周りが気になるから痩せたい……」
「健康に良い体重ってどれくらいなんだろう?」
このように考えている方も
いらっしゃるでしょう。
理論上、
ご自身の目標とする体重のときに
消費するカロリーを摂取すれば、
体重は
目標体重に近づきます。
まずは
目標体重を設定しましょう。
ただし、
痩せることによって体格が変われば
それに伴って
消費カロリーは減るため、
運動によって
消費カロリーを増やさなければ
体重の減少はいずれ止まります。
目標体重の設定に当たっては、
BMIを参考にしてみましょう。
※BMIとは
肥満度を表すために用いられる
国際的な体格指数です。
[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出されます。
国内ではBMIが
18.5未満で「低体重(痩せ)」、
18.5以上25未満で「普通体重」、
25以上で「肥満」に分類されます。
なお
BMIが22のときの体重は
「標準体重」と呼ばれ、
統計上
肥満と関連が深い糖尿病や高血圧、
脂質異常症などの病気に
最もかかりにくいことが
分かっています[3]。
標準体重は
[身長(m)の2乗]×22で
求められます。
目標とすべき
体重が分からないという方は、
ひとまず
標準体重を目指してみると
良いでしょう。
目標体重が決まったら、
体重1kg当たりの推定必要カロリーと
掛け合わせましょう。
【体重1kg当たりの推定エネルギー必要量(kcal)】

例えば
目標体重が50kgで、
身体活動レベルが普通(Ⅱ)に当たる
30代女性の場合、
摂取カロリーの目安は
38.4(kcal)×50(kg)=1,920kcalとなります。
特に肥満の方は
健康を損ねるリスクもあるため、
標準体重を目安に
減量に取り組みましょう。

カロリー(エネルギー)になる栄養素
「カロリーを摂取できる栄養素には何があるんだろう?」
1日のカロリー摂取量を考えるに当たり、
どの栄養素にカロリーがあるのが
気になりますよね。
カロリー源となる栄養素は
炭水化物(糖質)と
たんぱく質、脂質です。
ここからは
それぞれの栄養素の性質について
解説します。

1、炭水化物(糖質)
炭水化物は
エネルギー産生栄養素の一種で、
炭素と水素の化合物です。
炭水化物は
消化・吸収されて
カロリー源になる糖質と
ほとんどカロリー源にならない
食物繊維に大きく分けられます。
糖質は
1g当たり約4kcalのエネルギーを
産生します。
糖質を多く含む食品は
ごはんやパン、麺類などの穀類、
さつまいもやじゃがいもなどのいも類、
バナナやぶどうなどの果物類、
あめやせんべいなどの菓子類、
砂糖や砂糖を材料に用いる
飲食物などです。
糖質は重
要なカロリー源ですが、
摂取し過ぎると
脂肪として蓄えられて
肥満の原因となります。
また
糖尿病などの
生活習慣病を招く恐れもあるため
注意が必要です。
一方、
食物繊維は
ヒトの消化酵素で消化できないため
ほとんどカロリーにはなりません。
また
炭水化物全体に占める
食物繊維の割合も
わずかであるため、
炭水化物から摂取できるカロリーは
ほぼ糖質に由来すると
いえるでしょう。
食物繊維は
おなかの調子を整えて
便秘を予防する効果が有名ですが、
消化管内の糖質や脂質、ナトリウムを吸着して
排出するはたらきもあります。
さらに
糖質の吸収を緩やかにすることで
血糖値の急上昇を抑制する
効果も認められています。
このため
肥満や高血糖、高血圧といった
生活習慣病を予防・改善する
効果が期待できるのです。
食物繊維が豊富な食品には、
かぼちゃやごぼう、たけのこ、ブロッコリー、
モロヘイヤ、切り干し大根、いんげん豆、
さつまいも、おから、納豆、
しいたけ、ひじきなどがあります。
カロリー源となる糖質と、
カロリーにはならなくとも
健康状態の改善に多くのはたらきを持つ
食物繊維は、
いずれも重要な栄養素だと
いえるでしょう。

2、たんぱく質
たんぱく質は
エネルギー産生栄養素としてのはたらきの他、
筋肉や臓器、肌や髪など
体の組織の材料となる役割で
知られています。
また、
ホルモンや酵素など
体のさまざまな機能を調整する
物質の成分にもなります。
※酵素とは
消化や吸収、代謝など、
生命を維持するためのさまざまな
化学反応に欠かせないたんぱく質のことです。
酵素のみではたらくものと、
はたらくために
補酵素を必要とするものがあります。
たんぱく質は
1g当たり4kcalのエネルギーを
産生します。
たんぱく質は
肉類や魚介類、卵、乳製品などの
動物性食品に
多く含まれている他、
豆類などの
植物性食品からも摂取できます。
たんぱく質の摂取量が不足すると
体力や免疫機能の低下、
成長障害などが起こる場合があります。
このため、
たんぱく質を
しっかりと摂取するよう
心掛けましょう。

3、脂質
脂質は
エネルギー産生栄養素として
カロリー源になる他、
ホルモンや神経伝達物質といった
生理活性物質や
細胞膜の成分となります。
生理活性物質は
体の中で起こる現象に関わり、
ごくわずかな量で
影響を及ぼす物質です。
脂質は
1g当たり9kcalのエネルギーを
産生します。
脂質は
糖質と同じように、
摂り過ぎると
体脂肪を増やして
肥満の原因となります。
特に脂質は
糖質やたんぱく質よりも
カロリーが高いため、
摂取し過ぎに注意しましょう。

1日のカロリー摂取の理想のバランス
「カロリーはどの栄養素から摂取しても良いのかな?」
カロリーを摂取するに当たり、
どの栄養素からどれだけ摂れば良いのか
悩ましいという方も
いらっしゃるかもしれませんね。
健康のためには
炭水化物、たんぱく質、脂質を
バランス良く摂取しましょう。
厚生労働省は、
1日の摂取カロリーに対し、
各栄養素から摂取するカロリーを
以下の表の範囲にするという目標量を
設定しています。
【エネルギー産生栄養素バランス(%)】

ただしこのバランスは
必要なカロリーを摂取することが
前提のため、
注意が必要です。
エネルギー産生栄養素の摂取バランスと、
過不足ないカロリー摂取を
両立させることが重要なのですね。

1日の消費カロリーの計算方法
「消費カロリーはどうすれば計算できるのかな?」
「毎日の生活や運動でどれくらい
カロリーを消費できているのか知りたい……」
このように考える方も
いらっしゃるでしょう。
しかし
個人の消費カロリーを正確に測ることは
極めて
難しいといわれています。
また
消費カロリーは
個人によって差が大きいことも
知られています。
ここからは
消費カロリーのうち
基礎代謝と身体活動の計算方法を
ご紹介します。
一つの大まかな目安として
参考にしてみると良いでしょう。
1、基礎代謝の計算方法
厚生労働省は
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、
基礎代謝量の求め方を
紹介しています。
標準的な体格の方の基礎代謝量は
以下の表のとおりです。

体重が
参照体重に近い方は、
そのまま
該当する年代の基礎代謝量を
参考にしても良いでしょう。
また
該当する年代の基礎代謝基準値に
ご自身の
体重を掛け合わせることでも、
おおまかな基礎代謝量を
求めることができます。
ただし
ご自身の体重が参照体重よりも
大幅に重かったり
軽かったりする方や、
BMIが
痩せや肥満に該当する方は
誤差が大きくなるため
注意が必要です。
より詳細に
基礎代謝量を知りたいという方は、
以下の式から
求めることができます。

基礎代謝の推定式は
いくつかありますが、
この式は
国立健康・栄養研究所によるもので、
18~79歳の方において
妥当性が確認されています。
BMIが
30未満の肥満の方も
問題なく測定可能です。
身長160cm、体重65kgの
65歳女性を例に考えてみましょう。
この方のBMIは25のため、
(小数第1位で四捨五入)
上記の式から
基礎代謝量を求められます。
上記の式に当てはめると
(0.0481×65+0.0234×160-0.0138×65-0.9708)×
1,000÷4.186となり、
基礎代謝量は
1,195kcalです。
(小数第1位で四捨五入)

2、身体活動の計算方法
身体活動による消費カロリーは、
身体活動の強度と継続時間、
ご自身の体重から
求められます。
身体活動にはそれぞれ
「メッツ」という強度が設定されており、
身体活動量にはこれに
継続時間(時)を掛け合わせた
「メッツ・時」が用いられます。
まずは
計測したい運動や生活活動のメッツを
調べます。
主な運動のメッツ数は
以下の表のとおりです。

また
主な生活活動のメッツ数は
以下の表のとおりです。

メッツが分かったら、
継続時間を掛けて
身体活動量のメッツ・時を計算します。
この身体活動量と
ご自身の体重を
以下の式に当てはめると、
身体活動による
消費カロリーを計算できます。

体重70kgの方が
30分ジョギングをした場合を例に
考えてみましょう。
ジョギングのメッツは7.0のため、
7.0×0.5で3.5メッツ・時となります。
この数値と
体重を式に当てはめると
3.5×70となり、
消費カロリーは
245kcalです。
(小数第1位で四捨五入)
国立研究開発法人 国立健康・栄養研究所が
「身体活動のメッツ(METs)表」という資料を公開し、
多くの運動や
生活活動のメッツを紹介しているので
参考にしてください。

まとめ
カロリーとは
ヒトが食事などで摂取し、
生命維持や活動の際に消費する
エネルギーの単位です。
エネルギー源(カロリー)になる栄養素には
炭水化物(糖質)、たんぱく質、
脂質があります。
炭水化物は
エネルギー源となる糖質と、
ほとんどエネルギー源にならない
食物繊維に分けられます。
たんぱく質は
エネルギー源であり、
また
筋肉や骨、酵素やホルモンなどの
材料としても極めて重要です。
脂質は
効率の良いエネルギー源となる他、
細胞膜やホルモン、
神経伝達物質の成分としても
はたらきます。
健康のためには
炭水化物、たんぱく質、脂質を
偏らずに
バランス良く摂取することが
重要です。
ヒトが1日活動する際に
必要なカロリーは
年齢や身体活動の強さによって
変わります。
体重を維持したい場合は、
現在の体重での推定必要カロリーを
摂ると良いでしょう。
体重を減らしたり
増やしたりしたい場合は、
目標体重における
推定必要カロリーを摂ることを
目指しましょう。
また
消費カロリーは
基礎代謝と食事誘発性熱産生、
身体活動に分類されます。
基礎代謝による消費カロリーは
基礎代謝基準値と体重から
求めることができます。
身体活動による消費カロリーは
身体活動ごとの強度である
メッツと継続時間、体重から
計算が可能です。
ただし
個人の消費カロリーを
正確に計るのはむずかしく、
個人差もあるため
おおよその値であることに
注意が必要です。
この記事を読んで
ご自身の1日に必要なカロリーを把握し、
健康管理に
役立ててくださいね。

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