脂質異常症って?発症の原因や健康への影響!

公開日:2026/02/19 / 最終更新日:2026/02/19
脂質異常症とは
脂質異常症とは
血液中の脂質の値が
基準値を外れた状態を指します。
※脂質とは
たんぱく質や炭水化物と並ぶ
エネルギー源となる栄養素の一つです。
ヒトの体内には水分の次に多く含まれ、
エネルギー源や
細胞を構成する成分としての
役割を果たしています。
食べ物に含まれる脂質は
主に小腸で消化され種類ごとに
複雑な過程を経て体内に取り込まれ、
エネルギー源として使われるほか、
体内で
さまざまな役割を果たします。
しかし過剰になると
体脂肪として体内に蓄えられ、
肥満や生活習慣病の
原因となってしまうのです。
脂質異常症には、
「中性脂肪」「LDLコレステロール」
「HDLコレステロール」の
3種類の脂質が関わっており、
いずれかの血中濃度が
基準値を外れた場合に
脂質異常症と診断されます。
※中性脂肪とは
体脂肪の大部分を占め、
「トリグリセリド」や「脂肪」とも
呼ばれる物質です。
重要なエネルギー源である一方、
摂り過ぎると
肥満などの原因になります。
LDLコレステロールとは
「悪玉コレステロール」とも呼ばれ、
肝臓でつくられたコレステロールを
全身に運ぶ作用があります。
血液中で増え過ぎてしまうと
血管内に蓄積し、
血流を悪化させたり血液の塊(血栓)となって
詰まったりすることがあります。
HDLコレステロールとは
「善玉コレステロール」とも呼ばれ、
増え過ぎたコレステロールや
血管に蓄積したコレステロールを回収し、
肝臓に戻す作用があります。
LDLコレステロールは増え過ぎると
問題になるのに対し、
HDLコレステロールでは
減少することが問題になります。
脂質異常症の診断基準は
以下のように定義されています。

厚生労働省e-ヘルスネット
「脂質異常症診断基準(空腹時採血)」
コレステロールには、
LDLコレステロールや
HDLコレステロール以外にも
さまざまなコレステロールが含まれています。
non-HDLコレステロールは
全てのコレステロール(総コレステロール)から
HDLコレステロールを差し引いたものです。
後で紹介する
「動脈硬化」発症リスクを評価する上で
精度が高いとされている
検査項目の一つです。
脂質の値が基準値を外れただけでは
無症状であるため
気付かないことも多いでしょう。
しかし放置すれば
健康に
さまざまな悪影響を及ぼすため
注意が必要です。

脂質異常症による健康への影響
脂質異常症には
動脈硬化を進行させる
リスクがあります。
動脈硬化は
心臓から全身に血液を送る動脈が
弾力を失い
硬くなってしまう状態です。
いくつかの種類がありますが、
血管内に
コレステロールなどの成分が
ドロドロの物質となって沈着し、
血管内が狭くなったり
血栓ができて詰まったりする
「アテローム性動脈硬化」などがあります。
動脈硬化ではさらに
「狭心症」や「心筋梗塞」、
「脳卒中」などの
循環器病発症のリスクを高めることが
懸念されます。
狭心症では
心臓の血管が狭くなり、
血流が悪化して
歩行などの動作時に
胸痛発作を繰り返し起こすことがあります。
心筋梗塞は
心臓の血管に
血栓ができて詰まってしまい、
血流が途絶えて
心臓の細胞が壊れてしまう疾患です。
脳卒中は、
動脈硬化が原因で
脳の血管が破れる「脳出血」や
脳の血管に発生したこぶ
(動脈瘤)が破裂する「くも膜下出血」、
脳の血管が詰まる
「脳梗塞」の総称です。
脂質異常症を発症しただけでは
無症状でも、
こうして動脈硬化や
重篤な疾患の発症リスクを
高めてしまうのですね。

脂質異常症の原因
「脂質異常症って
どんなことが原因で発症するの?」
というのも
気になるところですよね。
ここからは、
脂質異常症の原因について
解説します。
1、過食や脂質、糖質の過剰摂取
脂質異常症の原因の一つは
過食や脂質、
糖質の摂り過ぎです。
エネルギーや脂質、糖質の摂り過ぎは、
中性脂肪が蓄積する
原因になります。
カロリーは
その飲食物がどれだけ
体のエネルギーになるかを表す単位で、
一般的には
1kcal(1キロカロリー)を
最小単位として用います。
体のエネルギーになる、
つまりカロリーがある栄養素は
脂質のほか
たんぱく質と炭水化物(糖質)で、
この3種類をまとめて
「エネルギー産生栄養素」といいます。
特に甘いものやジュース、お酒、
油ものなどを
習慣的に摂取している場合には
注意が必要です。
中性脂肪の数値が高くなることは
HDLコレステロール
(善玉コレステロール)値の低下と
連動することが
多いともいわれています。
またLDLコレステロール
(悪玉コレステロール)は特に
「飽和脂肪酸」を摂り過ぎることで
増加するとされています。
※飽和脂肪酸とは
肉の脂身やバター、ラード、生クリーム、
インスタント食品、
パームヤシやカカオ油脂などに
多く含まれる脂肪酸の一種です。
エネルギーとして使われる一方、
過剰に摂取すると
健康に
さまざまな悪影響を及ぼすことがあります。
食品中のコレステロールによる
影響には個人差が大きく、
飽和脂肪酸の摂取に比べて
影響が少ないともいわれています。
しかし少なからず
影響することはあるため、
LDLコレステロールの値が高く、
飽和脂肪酸に加え
卵や魚介類、菓子類、肉類など
コレステロールを多く摂取している場合には、
コレステロールの摂取量にも
注意が必要です。
2、運動不足
運動不足も
脂質異常症を発症する原因になります。
食事から摂取したエネルギーよりも
消費するエネルギーの方が下回る場合には
体重が増加します。
運動によって
消費されるエネルギーが少ないと、
食事から摂取したエネルギーが
消費できずに
中性脂肪として蓄積してしまうのです。
加えて
運動不足によって筋肉量が減少すると
「基礎代謝」が減り、
さらに
カロリーを消費しづらくなってしまいます。
※基礎代謝とは
体温を保ったり呼吸をしたり、
生命を維持するために
最低限必要なエネルギーのことです。
じっとしていても
基礎代謝分のカロリーは
消費されます。
基礎代謝量は
筋肉量によって変化し、
筋肉が減ると基礎代謝もそれに伴って
減ってしまいます。
1日のうち消費するエネルギーは
基礎代謝によるものが
最も多く
全体の60%とされ、
次いで身体活動や
運動によるものが30%、
食事から吸収した栄養素が分解されて
消費されるエネルギーによるものが
(食事誘発性熱産生)
10%とされています。
運動によって
カロリーを消費するだけでなく、
日頃からエネルギー消費量を増やすため
筋肉量を維持しておくことが
大切なのですね。
体重が増加すると
LDLコレステロールの数値も上昇し、
さらに肥満になると
中性脂肪の数値は高いまま経過し、
HDLコレステロールを
低下させてしまうこともあります。
運動不足には
くれぐれも注意が必要です。
厚生労働省 e-ヘルスネット
「身体活動とエネルギー代謝」
3、過度の飲酒
過度の飲酒も
脂質異常症の発症リスクを高めます。
飲酒する際には
おつまみなどを一緒に食べることで
多量の脂質を
摂取してしまうこともあるほか、
肝臓で作られた中性脂肪が
血液中に漏れ出してしまうのです。
脂質の数値が気になる場合には
飲酒は控えめにしておきましょう。
4、喫煙習慣
喫煙習慣も
脂質異常症の発症リスクを高めます。
脂質異常症の主な原因は
食習慣や
アルコールの多飲などによるものですが、
喫煙していることで
さらに発症のリスクを
高めてしまうのです。
これは喫煙によって食事から摂取した
脂質や糖質の代謝に
悪影響を及ぼし、
中性脂肪や
LDLコレステロールを増加させ、
HDLコレステロールを減らしてしまうと
されるためです。
さらにたばこに含まれる「ニコチン」が
「カテコールアミン」という
ホルモンを分泌させ、
体内で
中性脂肪を作り出しやすくさせてしまうことも
影響しています。
※ニコチンとは
たばこに含まれる化学物質です。
喫煙によって体内に取り込まれ、
中枢神経に作用して
心地よさをもたらし
強い依存性を引き起こします。
偏った食習慣や
過度の飲酒習慣などに加え
喫煙習慣があるという方は
特に
注意が必要といえるでしょう。
5、遺伝
脂質異常症には、
生まれながらに
HDLコレステロールの数値が低いものや
遺伝が原因で発症する
「家族性高コレステロール血症」などがあります。
生まれながらに
HDLコレステロールの数値が低い場合には
遺伝子の異常が原因の
場合があります。
余分なコレステロールが
目や腎臓などに蓄積し、
黒目の部分を覆う
「角膜」が濁ってしまったり
貧血を来したりすることがあります。
家族性高コレステロール血症では
生まれつき
LDLコレステロールの数値が著しく高く、
幼少期から動脈硬化や
それに伴う循環器病の発症が懸念されます。
一部の
家族性高コレステロール血症の方では
手の甲や膝、肘、まぶたなどに
黄色く変色した
隆起が生じることもありますが、
多くの場合
自覚症状がありません。
幼少期の健康診断では
血液検査を実施する
自治体も少ないことから、
早期発見が難しいともいわれています。
HDLコレステロールの数値が
20mg/dL未満で、
黒目の濁りや貧血、
尿検査でたんぱくが出ていることを
一つでも指摘されたことがある方は
専門医で
診察を受けてください。
またLDLコレステロールの数値が
180mg/dL以上で皮膚に黄色い隆起があり、
両親や祖父母などの家族内でも
LDLコレステロールが180mg/dL以上、
男性では55歳以下、
女性では65歳以下で
狭心症や
心筋梗塞を発症した方がいる場合にも
医療機関で相談しましょう。
一般社団法人日本動脈硬化学会
「家族性高コレステロール血症(FH)とは?」

脂質異常症を改善するためのポイント
「脂質異常症ってどうすれば改善できるの?」
というのも気になるところですよね。
ここからは、
脂質異常症を改善するためのポイントを
四つ紹介しましょう。

ポイント1
過食や糖質、脂質の過剰摂取を控える
中性脂肪の数値が高い場合には
エネルギー量や糖質、
油ものの摂取を控えましょう。
HDLコレステロールの数値が低い場合にも
中性脂肪の高値と
併発していることが多いため、
食事内容を見直してみましょう。
中性脂肪の
基準値を目指す場合には
1日の摂取カロリーを
適正に抑えることが大切です。
「1日に必要なカロリーってどれくらいなんだろう?」
と疑問に思った方も
いらっしゃるかもしれませんね。
1日に必要なカロリーは
性別や体格、運動量などによって
異なります。
ご自身の適正エネルギーを知るために、
まずは
標準体重を算出してみましょう。
※標準体重とは
BMI(Body Mass Index)が
22になるときの体重のことで、
最も病気になりにくい状態です。
「身長(m)×身長(m)×22」という式で
求められます。
BMIは
肥満度を表す国際的な指標の一つで、
「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で
算出できます。
なお、日本肥満学会は
BMIが18.5未満の状態を
「低体重(やせ)」、
18.5以上25未満の状態を「普通体重」、
25以上の状態を肥満としています。
標準体重が分かったら
次はどれくらい体を動かしているのか、
ご自身の「身体活動レベル」を
チェックします。
身体活動レベルは
以下のような
3段階に分けられます。

次は標準体重と、
生活習慣病の食事指導などに使われる
体重1kg当たりの
推定エネルギー必要量を掛け合わせます。
【体重1kg当たりの推定エネルギー必要量】

これで算出できたのが、
標準体重の維持に必要な
1日の摂取カロリーです。
例えば
身長170cmで
身体活動レベルがⅡに該当する
35歳の男性の場合、
標準体重は
1.7×1.7×22=63.58kgであることが
分かります。
標準体重の維持に必要な
1日当たりのカロリーは
63.58×39.3=約2,499kcalです。
(小数点以下第1位で四捨五入)
現在の体重が
標準体重を上回っていたという方は、
1日の摂取カロリーを
適正範囲に抑え、
糖質の多いお菓子やジュース、
果糖の多い果物、
油を多く含む揚げ物などを
控えるようにしましょう。
LDLコレステロールの数値が高い場合には、
飽和脂肪酸の摂取を
控えることも重要です。
飽和脂肪酸は肉や
乳製品(バター、牛乳)、チョコレート、卵黄、
ココナッツ、パーム油などに多く含まれ、
コレステロールは
肉類、魚介類、菓子類、卵類に多く含まれます。
またコレステロールを多く含む
卵や魚卵、えび、レバー、
うなぎなどの食品も
控えるようにしましょう。
食品中のコレステロールは
飽和脂肪酸ほど
LDLコレステロールの数値に
大きな影響を与えないとされています。
ただし、過剰に摂取することで
体内での
コレステロールのバランスが崩れると
LDLコレステロールの数値を高める
原因になるため、
注意が必要です。
厚生労働省 e-ヘルスネット
「BMI」

ポイント2
適度な運動をする
脂質異常症の改善には
適度な運動を行うことも有効です。
種目は
ウォーキングや
スロージョギング(歩くような速さのジョギング)、
自転車、水泳などの
有酸素運動を行うと良いでしょう。
運動の強度は
中等度程度(通常のウォーキング程度)が
推奨されています。
頻度としては
毎日合計30分の運動を行うことが
勧められていますが、
難しい場合には
10分間の運動を3回に分けて実施するなど
数回に分けて行っても構いません。
脂質異常症を改善するためには、
運動を継続することが重要です。
無理なく続けられる
運動を行いましょう。
運動を行う前に
虚血性心疾患合併の有無を把握し、
運動を行うことの可否について
確認するほか、
年齢や体力、体重に合った運動量についても
医師に相談してください。
厚生労働省e-ヘルスネット
「脂質異常症を改善するための運動」

ポイント3
飲酒を控える
脂質異常症を改善する上では
飲酒を控えることも重要です。
アルコールを過剰に摂取すると
中性脂肪の数値を高めるほか
肥満や高血圧など健康に
さまざまな悪影響を及ぼすため
注意しましょう。
厚生労働省では、
節度ある適度な飲酒を
純アルコールで
1日20g程度としています[6]。
体に影響を及ぼすのは、
飲んだお酒の量ではなく
摂取した純アルコールの量です。
純アルコールの量は、
アルコール度数5%のビール500mlの場合には
アルコールの比重を考慮して
「500(ml)×0.05(%)×0.8=20g」の式で算出され、
純アルコール量は
20gになります。
純アルコール20gに該当するアルコール量は
以下のとおりです。

公益社団法人 アルコール健康医学協会
「お酒と健康 飲酒の基礎知識」

飲酒量を抑えるほか、
週に1日~2日は
アルコールを飲まない日を作りましょう。
2023年に発表された研究結果では、
ノンアルコール飲料が
飲酒量の減少に有用であり、
減酒のきっかけにもなる可能性が
明らかになりました。
ストレスなく飲酒量を控えるために、
ノンアルコール飲料を活用してみても
良いですね。
厚生労働省 健康21
「アルコール」
厚生労働省e-ヘルスネット
「飲酒量の単位」
公益社団法人千葉県栄養士会
「血液中の中性脂肪が高い人の食事」

ポイント4
禁煙する
喫煙していて
脂質異常症と診断された場合には
禁煙をしましょう。
たばこは
中性脂肪やLDLコレステロールを増やして
HDLコレステロールを減少させるため、
脂質異常症を
悪化させてしまうのです。
しかし長年喫煙していて
なかなか禁煙できないという方も
いらっしゃることでしょう。
これはニコチンによる
依存が原因です。
たばこを吸って時間がたつと
血液中のニコチン濃度が低下して
不快感を生じ、
それを解消するために
喫煙を繰り返してしまうのです。
しかし禁煙中は
たばこを吸う代わりに
ほかの行為を行うなどの対処をすることで、
吸いたい気持ちを
コントロールすることができます。
また禁煙補助薬を活用したり
禁煙外来での
治療を受けたりすることで
比較的楽に
禁煙できるとされています。
ご自身で
禁煙することが難しい場合には、
無理せず
医療機関を受診しましょう。

自己判断せず医療機関を受診しよう
健診で
脂質異常症であることが分かった場合には、
医療機関を受診しましょう。
脂質異常症は
進行性の病気で、
改善しなければやがて
動脈硬化や
循環器病を発症する恐れがあります。
またなかには遺伝によって
脂質異常症を発症している
場合などもあり、
医療機関での検査や
治療が必要です。
現在無症状であっても、
生活習慣の改善とともに
医療機関での検査や
治療を受けてください。

まとめ
脂質異常症は
血液中の脂質の数値が
基準値を外れた状態を指します。
進行すれば
動脈硬化を進行させ
循環器病を発症する恐れがあるため、
早めの治療が必要です。
脂質異常症を改善するためには、
食事内容を見直し、
適度な運動を行い、
お酒やたばこを控えて
健康的な生活を送ることがポイントです。
2024年英グラスゴー大学の研究において、
スコットランドの人口の
約5%が参加した
全国健康調査の参加者から抽出した
8万2,297人(16~74歳)のデータを分析した結果、
自転車通勤は
健康を大幅に改善し、
あらゆる原因による死亡(全死亡)リスクを
低減することが示唆されました。
ただし、自転車通勤者では、
交通事故による
入院リスクが非活動的な通勤者の
約2倍でした。
自転車専用道路が整っているなど
安全に運転できる環境がある場合は、
自転車通勤を
検討してもいいかもしれませんね。
また無症状であっても
医療機関で
検査や治療を受けることが必要です。
健診で
脂質異常症と指摘された場合には、
生活習慣を改善するとともに
医療機関を受診してくださいね。

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