肥満と関連する病気って?肥満改善ポイント!

公開日:2025/09/03 / 最終更新日:2025/09/03
そもそも肥満とはどういった状態か
肥満という言葉は
よく見聞きするものですが、
その定義は
よく知らないという方も
多くいらっしゃるのではないでしょうか。
肥満とは、単に
体重が多いだけでなく、
体脂肪が
過剰に蓄積された状態のことです。
エネルギー摂取量(摂取カロリー)が
エネルギー消費量(消費カロリー)を
上回ることで起こるため、
主な原因は
食べ過ぎと運動不足であるといえます。
カロリーは
ヒトが食品から摂取し、
生命を維持したり
体を動かしたりすることで
消費するエネルギーの量を表す単位です。
1cal(カロリー)は
非常に小さいため
一般的にはその1,000倍の1kcal(キロカロリー)が
最小単位として用いられます。
エネルギー源になる栄養素には
炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質の
三つがあります。
肥満の判定には国際的に
「BMI(Body Mass Index)」が
使われています。
※BMIとは
体格を表すのに
国際的に用いられている指標です。
[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で
求められます。
肥満の基準は
国によって異なりますが、
国内では
以下の基準が用いられています。

世界保健機関(WHO)の基準では
30.0以上が
肥満に当たります。
ただしBMIでは
脂肪がどれだけ
蓄積されているかを
判断することはできません。
このため国内では
BMIが25以上かつ脂肪組織に
脂肪が過剰に蓄積された状態が
肥満と定義付けられています。
「どれくらい脂肪があったら肥満になるの?」と
疑問に思った方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
体重に占める
脂肪の重量の比率を表す
「体脂肪率」は
生活習慣病との関連が薄いため、
医学的な判定基準としては
用いられていません。
ただし
一般的に体脂肪率が成人男性では25%、
成人女性では
30%を超えていると
体脂肪が多い状態にあるとされています。
広く普及している
体脂肪計の測定方法では
正確な測定は困難といわれていますが、
参考までに測ってみるのも
良いかもしれませんね。
生活習慣病は
食事や運動、飲酒、喫煙、
休養などの生活習慣が
発症に深く関わる病気の総称です。
日本人の死因の上位を占める
がんや心臓病、脳卒中は
生活習慣病に当たります。
肥満はさまざまな
病気の原因となりますが、
肥満に該当するからといって
医学的に
減量が必要であるとは
限らないといわれています。
ただし肥満に
健康を脅かす合併症を伴う場合や、
そのリスクが高い場合、
「肥満症」と診断され
治療の対象とされます。
なお、
脂肪がどこについているかによっても
健康への影響は
異なります。
肥満は
「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」に
分けられます。
内臓脂肪型肥満とは、
腸管などの内臓の周りに
脂肪がついた状態のことです。
おなか周りが
大きくなった体型が特徴で、
男性に多く
見られるといわれています。
皮下脂肪型肥満は
皮下脂肪が多くついたタイプの
肥満で、
二の腕やお尻、太もも、
下腹などが大きくなります。
女性に
多く見られるといわれています。
特に健康への影響が
大きいといわれているのが
内臓脂肪型肥満で、
これを踏まえて提唱されたのが
メタボリックシンドロームの
概念です。
※メタボリックシンドロームとは
内臓脂肪の蓄積に加え、高血糖、
脂質代謝異常(血中の脂質の異常)、高血圧のうち
二つ以上が見られる
状態のことです。
メタボリックシンドロームは
動脈硬化の進行を促し、
日本人の主な死因である
心臓病や脳卒中の危険性を
高めるといわれています。
※動脈硬化とは
心臓から
全身の器官に送られる血液が通る
血管「動脈」の壁が
しなやかさや弾力性を失い、
厚く硬くなった状態のことです。
血管が狭まったり
詰まったり
裂けたりしやすくなるため、
さまざまな病気の原因となります。
なお、
内臓脂肪の蓄積は
高血糖や脂質異常症(脂質代謝異常)、
高血圧などを
引き起こしやすくすると
いわれています。
肥満自体は病気でなくとも、
さまざまな病気の
原因になってしまうのですね。

肥満で発症リスクが高まる病気
「肥満だといろんな病気になりやすいって本当かな?」
このように気になっている方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
肥満の状態では、
さまざまな病気の発症リスクが
高まるといわれています。
肥満と関連して
発症のリスクが高まる病気を
ご紹介しましょう。
1、高血糖・糖尿病
肥満は
高血糖や糖尿病の原因になると
いわれています。
高血糖とは
血糖値が高い状態のことです。
※血糖値とは
血中のブドウ糖濃度のことです。
ブドウ糖は炭水化物(糖質)の最小単位である
「単糖類」の一種で、
特別な状況を除き
脳がエネルギー源として利用できる
唯一の物質です。
食事に含まれる炭水化物(糖質)が
体内で分解されると、
ブドウ糖は血中に取り込まれ、
血糖値が上昇します。
血糖値が上昇すると、
それに反応して
膵臓(すいぞう)からインスリンという
ホルモンが分泌されます。
インスリンは
血中のブドウ糖を
細胞にエネルギーとして使わせ、
使い切れなかった糖を
脂肪やグリコーゲンという物質として
蓄えるはたらきを促進することで
血糖値を下げます。
グリコーゲンは
ブドウ糖からできる多糖類です。
肝臓や筋肉に蓄えられ、
必要に応じて
ブドウ糖となって
エネルギー源として使われます。
しかし
インスリンの分泌量が不足していたり、
効きが悪かったりすると
血糖値が正常に下がらず、
高血糖になってしまうのです。
糖尿病は
高血糖が慢性的に続く病気です。
肥満の状態では
インスリンの効きが悪くなることが
分かっています。
十分な量のインスリンが
つくられているにもかかわらず、
効きが悪い状態を
「インスリン抵抗性」と呼びます。
インスリンが作用するには
細胞の表面にある
「レセプター(受容体)」と結合することが
必要です。
しかし
肥満の状態ではこの
レセプターの量が減少してしまい、
インスリンが
十分にはたらかなくなってしまいます。
このため肥満の状態では
インスリン抵抗性に陥り、
高血糖や
糖尿病になりやすくなってしまうのです。
また
肥満のために大きくなった
脂肪細胞から分泌される
「アディポサイトカイン」と呼ばれる物質は
インスリンの作用を弱めると
いわれています。
なお
高血糖や初期の糖尿病には
自覚症状がありませんが、
血糖値が高い状態は
血管を傷つけたり
詰まらせたりするために
動脈硬化や
さまざまな合併症を引き起こします。
代表的な合併症として
挙げられるのが
網膜症、腎症、神経障害です。
網膜症とは、
目の網膜の血管が傷むことで
視力の低下を引き起こし、
最悪の場合には
失明に至る病気です。
腎症は
長期的な高血糖により
腎臓が傷み、
機能の低下を引き起こす
病気です。
進行し
末期腎不全に至ると、
「透析療法」が必要になります。
また神経障害は
高血糖により運動神経・知覚神経・自律神経に
障害が起こった
状態です。
※自律神経とは
意思とは関係なく
体内の機能を調整するはたらきをする
神経の総称です。
相反するはたらきをする
交感神経と副交感神経に分けられます。
運動神経の障害により
体を自由に動かすことができなくなる、
知覚神経の障害により
痛みを感じたり
反対に感じにくくなったりするといった
症状が現れます。
また
自律神経の障害は
立ちくらみを引き起こす他、
発汗や消化機能、排尿、
性的機能の異常を引き起こします。
高血糖は放置していると
恐ろしい病気を
招いてしまうのですね。
2、脂質異常症も肥満が原因
肥満は
脂質異常症の発症リスクを
高めるといわれています。
脂質異常症は
血中の脂質の値が
基準値から外れた状態です。
主に
- 「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」
- 「HDLコレステロール(善玉コレステロール)」
- 「トリグリセリド(中性脂肪)」
の異常があります。
脂質異常症はいずれも
動脈硬化を
促進することが分かっているため、
注意が必要です。
コレステロールは
脂質の一種で、
細胞膜やホルモン、
胆汁酸をつくる材料でもあります。
血中を流れているコレステロールは
たんぱく質などと結合した
「リポたんぱく質」で、
LDLコレステロールとHDLコレステロールに
分けられます。
LDLコレステロールは
肝臓でつくられたコレステロールを
全身に運ぶはたらきをしており、
増え過ぎると
血管の壁に蓄積し、
動脈硬化を進行させてしまうため
悪玉コレステロールと
呼ばれています。
一方、
善玉コレステロールとも呼ばれる
HDLコレステロールは
血管壁にたまった
コレステロールを回収し、
肝臓に運ぶはたらきをしており、
動脈硬化を
抑制しています。
LDLコレステロールが増え過ぎた状態を
「高LDLコレステロール血症」、
HDLコレステロールが少なくなった状態を
「低HDLコレステロール血症」といい、
いずれも
脂質異常症の一種とされています。
中性脂肪は
体脂肪の
大部分を占める脂質で、
血中にも流れています。
中性脂肪が増え過ぎた状態を
「高トリグリセリド血症」といい、
こちらも
脂質異常症の一種です。
肥満による
脂質異常症では、
特に
低HDLコレステロール血症と
高トリグリセリド血症が多く見られると
いわれています。
原因には
中性脂肪やコレステロールを多く含む
食品の摂り過ぎの他、
肥満による
インスリン抵抗性があるといわれています。
インスリン抵抗性のある状態では、
肝臓が中性脂肪(トリグリセリド)の
合成を促進し、
中性脂肪を多く含む
「VLDL(超低比重リポたんぱく)」を
血中に過剰に放出します。
このため、
高トリグリセリド血症に
なってしまうのです。
また
インスリン抵抗性が高い状態では、
VLDLをHDLコレステロールに変える物質が
十分に
活性化されないため、
HDLコレステロール値が低下し、
低HDLコレステロール血症が
引き起こされます。
3、高血圧と肥満の関係
肥満の状態は
高血圧も招くといわれています。
高血圧とは
血圧が慢性的に高い状態のことです。
血圧とは
心臓から送り出された血液が
動脈の内側の壁を押す力のことで、
一般的には
上腕動脈にかかる
圧力のことを指します。
高血圧は
動脈硬化の原因となります。
高血圧が
長期にわたって続くと
常に張り詰めた状態に置かれている
血管の壁が
次第に厚く硬くなってしまうのです。
高血圧による動脈硬化は
全身の血管に起こり、
さまざまな病気の
原因となります。
肥満の方は
体重が正常な方に比べて
約2~3倍
高血圧になりやすいと
いわれています。
高血圧の
主な原因の一つには、
塩分(塩化ナトリウム)の
摂り過ぎがあります。
※ナトリウムとは
ヒトの体に必要な
必須ミネラルの一種で、
主に
塩化ナトリウムの形で摂取されます。
細胞外液の浸透圧を
調節するはたらきをしていますが、
摂り過ぎると
むくみや口の渇きの他、
高血圧や胃がん、食道がんの
発症リスクを高めることが
分かっています。
肥満の方は
食べ過ぎることが多いため
ナトリウムの摂取量も
多くなっていると
考えられるのです。
また
肥満の状態では
インスリンが過剰に分泌されます。
インスリンには
ナトリウムの
再吸収を促進する
はたらきがあるため、
さらに
血中のナトリウムが増加してしまい、
血圧が上昇する
恐れがあります。
加えて
インスリンは交感神経を刺激して
「カテコールアミン」と呼ばれる物質の
放出を招きます。
カテコールアミンには
末梢(まっしょう)血管を
収縮させる作用があり、
これも
血圧上昇の原因となります。
さらに肥大した
脂肪細胞が分泌する
「アンジオテンシノーゲン」という物質にも
血管を収縮させる作用があり、
血圧を上昇させます。
肥満は
高血圧を招く
さまざまな要素がそろっている
状態だといえますね。
4、冠動脈疾患・脳梗塞
肥満、
なかでも内臓脂肪型肥満を
放置していると、
冠動脈疾患や脳梗塞を
引き起こす恐れがあります。
冠動脈疾患とは、
心臓に血液を供給する
「冠動脈」が動脈硬化の進行によって
狭まったり詰まったりすることで
起こる病気です。
主に
狭心症や
心筋梗塞などがあります。
狭心症は
冠動脈が狭まることで
胸の痛みを生じる病気です。
また心筋梗塞は
冠動脈がふさがってしまうことで、
心筋(心臓の筋肉)の一部が
壊死(えし)してしまう
病気です。
血液は
酸素を供給するはたらきをしており、
血管の異常によって
十分な血液が供給できないと
細胞が酸欠で壊死してしまいます。
突然死の
代表的な原因ともいわれる
恐ろしい病気です。
同様に
脳の血管がふさがって
血流が止まってしまう病気を
脳梗塞といいます。
脳が壊死してしまうため
多くの場合で
後遺症が見られる他、
死に至ることも珍しくありません。
内臓脂肪型肥満は
動脈硬化を促進し、
さらに
動脈硬化の要因となる高血圧や
脂質異常症、高血糖を
促進するといわれています。
これらが積み重なって
冠動脈疾患や脳梗塞などの
重大な病気を
引き起こしてしまうのです。
内臓脂肪型肥満に高血糖、脂質代謝異常、
高血圧が組み合わさった状態である
メタボリックシンドロームの
改善が勧められるのは、
こうした
重大な病気を予防するためだと
いえます。
5、腎臓病と肥満の関係
肥満は
腎臓病を引き起こす恐れもあります。
腎臓病とは
腎臓の機能が低下する
病気です。
腎臓は
血液をろ過し、
余分な塩分や老廃物などを
尿として体外に排出する、
体に必要なものを
再吸収するといった
はたらきをしています。
このため
腎臓の機能が低下すると
老廃物などが体に蓄積したり、
体液量の調節が
うまくいかなくなったりしてしまうのです。
腎臓の機能が低下した状態では
再吸収されるべき
たんぱく質が
尿に混じったまま
排せつされてしまいます。
これを
たんぱく尿といい、
尿に含まれる
たんぱく質の量は
腎臓病の診断にも使われています。
肥満によって起こる腎臓病は
肥満に合併する
高血糖や
高血圧によって生じるものと、
肥満そのものが原因となる
「肥満関連腎臓病」に分けられます。
また
高血圧も腎臓の負担を高め、
はたらきを低下させると
いわれています。
加えて
肥満が直接的な原因となる
肥満関連腎臓病もあります。
肥満に伴う
エネルギー過剰と
代謝が高まった状態や、
内臓脂肪の増加により脂肪細胞でつくられる
アンジオテンシノーゲンの分泌量が
増加した状態が
肥満関連腎臓病を
引き起こしてしまうのです。
肥満の状態では
さまざまな要因が重なって
腎臓病のリスクが
高まってしまうのですね。
6、脂肪肝も肥満が原因
肥満の状態では
脂肪肝のリスクも
高まるといわれています。
かつては
アルコールの飲み過ぎによる
脂肪肝が多く見られましたが、
近年は
肥満が原因の
非アルコール性脂肪肝(NASH)が
増えています。
脂肪肝とは
肝臓に中性脂肪が蓄積した
状態のことです。
エネルギー摂取量が
エネルギー消費量を上回っていると、
余分なエネルギーは
中性脂肪やグリコーゲンとして
体に蓄えられます。
中性脂肪は
内臓脂肪や皮下脂肪として
蓄積される他、
肝臓にも蓄えられます。
脂肪肝は
肝臓の細胞に
脂肪が蓄えられ過ぎた状態です。
肝臓に蓄積する脂肪は
いわゆる内臓脂肪とは別ですが、
脂肪肝は
内臓脂肪型肥満や
メタボリックシンドロームの状態にある方に
よく見られます。
また脂肪肝は
脂質異常症や糖尿病も合併しやすく、
動脈硬化を進行させると
いわれています。
肥満による脂肪肝は
肥満で
インスリン抵抗性に陥っていると、
肝臓に脂肪が
蓄えられやすくなるために
起こると考えられています。
しかし
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるほど
自覚症状が現れにくいのが
特徴です。
放置していると
肝炎や、肝臓の末期的な状態である
肝硬変、肝がんに進行する
恐れもあるので
注意が必要です。
肝炎は
肝臓の細胞が炎症し
細胞が壊されていく病気です。
ウイルスや薬物、アルコールなどが
原因の場合もありますが、
脂肪肝から
進行することもあります。
肝硬変は
慢性的な肝臓の病気によって
(慢性肝疾患)
肝臓が
硬くなってしまう病気で、
肝臓の機能の低下が見られます。
肝がんは
肝臓のがんです。
7、睡眠時無呼吸症候群
肥満は
睡眠時無呼吸症候群の
原因の一つだとされています。
睡眠時無呼吸症候群は
睡眠中に呼吸が何度も止まったり、
浅くなったりして
体が低酸素状態に陥ってしまう
病気です。
睡眠中の
いびきや中途覚醒、起床時の頭痛やだるさ、
日中の眠気などが
症状として現れます。
睡眠時無呼吸症候群は
空気の通り道が
狭くなるために起こる
「閉塞(へいそく)型」と
呼吸をつかさどる
脳のはたらきが
低下することで起こる「中枢型」、
これらを併発する
「混合型」に分けられ、
肥満によって起こるのは閉塞型です。
睡眠中は
喉の緊張が緩むため、
呼吸に問題がない場合でも
口や鼻から肺の入口にかけての
空気の通り道が起きている間よりも
狭まります。
しかし
肥満の方では
喉の脂肪によってさらに
空気の通り道が狭くなり、
呼吸が止まってしまう
場合があるのです。
睡眠時無呼吸症候群では、
低酸素や日中の眠気などの
ストレスによって
高血圧や心筋梗塞などを
引き起こしやすくなると
いわれています。
突然死を招く恐れもあるので
注意が必要です。
いびきなどの症状を
軽く見てはならないことが
分かりますね。
8、変形性腰椎症・変形性膝関節症
肥満で
重くなった体を支え切れず、
整形外科的な疾患が
生じる場合もあります。
代表的なものとして
「変形性腰椎症」と「変形性膝関節症」が
挙げられます。
変形性腰椎症は
腰椎が変形したり
圧迫骨折を起こしたりする
病気です。
腰椎は
脊椎(背骨)の一部です。
脊椎は頚椎(けいつい)、胸椎、腰椎、
仙椎、尾椎の
五つのグループに分けられます。
腰椎は
五つの大きな骨から成っています。
腰椎は
脊椎のなかでも
体重を支える役割をしており、
一番大きな衝撃のかかる
箇所です。
腰椎が
体重を支え切れなくなると
変形性腰椎症を
起こしてしまうのですね。
また
変形性膝関節症は
膝関節の軟骨がすり減る
病気です。
膝の軟骨がすり減ると
膝関節を動かしにくくなるだけでなく、
骨同士が
直接ぶつかるようになってしまうため
小さな骨折を引き起こしたり、
骨が硬くなったりといった
骨の異常が生じます。
加えてこの異常を
修復しようとするはたらきが過剰になり、
「骨棘(こつきょく)」と呼ばれる
とげ状の組織ができてしまうことも
あります。
変形した関節や
すり減った軟骨を
完全に元どおりにすることはできないので、
早めの発見と
治療が重要だといえます。
9、月経異常と肥満の関係
肥満によって
月経異常が生じる場合もあります。
脂肪細胞から分泌される
「レプチン」という物質は
生殖機能に関わっており、
その量は
体脂肪の量と比例します。
しかし
肥満の状態では
血中レプチン濃度は高いにもかかわらず、
レプチンの効きが
悪くなってしまいます。
このために
生殖機能に異常が起こり、
月経不順や不正性器出血といった
異常が見られるのです。
また重度の場合には
無月経や不妊症に至ります。
体脂肪量が
極端に少ない状態では、
血中レプチン濃度が低下して
生殖機能不全が引き起こされます。
痩せ過ぎると
月経異常が起こるといわれているのは
このためです。
10、妊娠合併症
肥満の状態では、
「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」などの
妊娠合併症のリスクも
上昇します。
妊娠高血圧症候群とは
妊娠に際して
高血圧を発症している
状態の総称です。
妊娠高血圧症候群には
いくつかの分類があり、
妊娠前から妊娠20週までの間に
高血圧が見られた場合は
「高血圧合併妊娠」と呼ばれます。
また
妊娠20週以降に
高血圧のみを発症した場合は
「妊娠高血圧症」、
高血圧と共にたんぱく尿が見られる場合は
「妊娠高血圧腎症」に
分類されます。
特に
妊娠34週未満の発症は
重症化しやすく
注意が必要です。
重症化すると母体では
血圧上昇やたんぱく尿に加え
けいれん発作や脳出血、
肝臓や腎臓の機能障害などが起こる
場合があります。
また
胎児の発育の不全や、
場合によっては
死を引き起こします。
妊娠糖尿病とは、
妊娠中に発見された
高血糖です。
母体が高血糖であると
胎児も高血糖になり、
さまざまな合併症が起こる
リスクが生じます。
母体では
妊娠高血圧症候群や
羊水量の異常、難産などの
リスクが高まります。
また
胎児の心臓が肥大したり、
低血糖が起こったりする危険性が増す他、
流産・胎児死亡の
恐れもあります。
妊娠前から
糖尿病であった場合や、
明らかに妊娠に由来していない
糖尿病であると
診断された場合は
妊娠糖尿病には含まれません。
この場合
妊娠糖尿病より深刻な状態であるため
より厳密な
血糖コントロールが
必要になります。
肥満は
インスリン抵抗性を
高めてしまいますが、
実は
妊娠も同様です。
このため相乗効果で
インスリン抵抗性が高まり、
リスクが
増大してしまうのです。

肥満を改善し生活習慣病を予防するポイント
「肥満を改善するにはどうしたら良いんだろう」
「生活習慣病を予防するためには
どんなことに気を付けたら良いのかな?」
このように気になっている方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
肥満によって生じる生活習慣病を
予防・治療するためには
減量が基本となります。
減量をせずに
服薬治療を受けても、
十分な効果が得られなかったり、
副作用が現れたりしてしまいます。
また
生活習慣を改善することで、
肥満によって生じるさまざまな
疾患の予防・改善にもつながると
考えられます。
肥満を改善し、
生活習慣病を予防するためのポイントを
ご紹介しましょう。

1、エネルギー摂取量を適切に制限する
エネルギー摂取量(摂取カロリー)を
適切に制限することは
減量の基本であるといえます。
肥満は
エネルギー摂取量が
エネルギー消費量(消費カロリー)を上回ることで
起こります。
反対に
エネルギー摂取量を減らすことで
減量につながるのです。
とはいえ、
極端なエネルギー(カロリー)制限は
リバウンドや栄養不足による
不調などのリスクを伴います。
1日のエネルギー摂取量は、
目標とする体重
1kg当たりの推定エネルギー必要量を
参考にすると良いでしょう。
なお、
目標体重は
BMIをもとに設定することが重要です。
厚生労働省は
18歳以上に対し、
目標とすべきBMIの範囲を
定めています。

これは
総死亡率を
できるだけ低く抑える観点から
設定されたものです。
目標とする
BMIのときの体重は、
[身長(m)の2乗]×[目標のBMI]で
求められますよ。
目標体重が決まったら、
体重1kg当たりの
推定エネルギー必要量と
掛け合わせます。

推定エネルギー必要量は
身体活動レベルによって異なるため、
ご自身の身体活動レベルを
把握してくださいね。

例えば
身長170cmの30代男性が
BMI22を目指すとしましょう。
この場合、目標体重は
1.7(m)×1.7(m)×22=63.58kgと
計算できます。
身体活動レベルが
「普通」に該当すると仮定すると、
体重1kg当たりの推定エネルギー必要量は
39.4kcalです。
つまり
1日の推定エネルギー必要量は
63.58(kg)×39.4(kcal)=2,505kcalとなります。
(小数第1位で四捨五入)

2、エネルギー産生栄養素バランスを意識する
単にエネルギー摂取量を
制限するだけでなく、
エネルギー産生栄養素バランスを意識することも
重要だといえるでしょう。
ヒトの体の
エネルギー源となる栄養素、
つまり
「エネルギー産生栄養素」には
炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質の
三つがあります。
炭水化物(糖質)のなかでも
ブドウ糖は
脳の重要なエネルギー源ですが、
過剰に摂取した炭水化物(糖質)は
中性脂肪として蓄えられ、
肥満や生活習慣病の
原因になってしまいます。
炭水化物は
消化・吸収され
エネルギー源になる糖質と、
ヒトの消化酵素では消化できないため
ほとんどエネルギーにならない
食物繊維に分けられます。
脂質は
エネルギー源となる他に
細胞膜を構成したり、
ホルモンなどの材料となったりする
はたらきをしています。
しかし
他のエネルギー産生栄養素に比べて
エネルギー量(カロリー)が多く、
摂り過ぎると
肥満や生活習慣病の原因となる点に
注意が必要です。
特に
脂質に含まれる脂肪酸のなかでも
(脂肪の構成要素)
割合が多い
「飽和脂肪酸」の摂り過ぎは
高LDLコレステロール血症や
心筋梗塞、肥満などの
要因であるといわれています。
また
たんぱく質は
エネルギー源となる他に筋肉や臓器、
皮膚、髪の毛などの
体の組織の材料となったり、
ホルモンや酵素、抗体など
体の機能を調節する物質の
成分となったりする
重要なはたらきをしています。
このように
それぞれにはたらきや、
摂り過ぎた場合の
健康上のリスクが異なるため、
エネルギー産生栄養素は
バランス良く摂取することが
重要なのです。
厚生労働省は
1日のエネルギー摂取量に対し、
各栄養素から摂取するエネルギーを
以下の割合にするよう
目標を設定しています。

なお
1g当たりのエネルギー産生栄養素から
産生されるエネルギーは
炭水化物(糖質)とたんぱく質で4kcal、
脂質で9kcalです。
例えば
1日の推定エネルギー必要量が
2,505kcalである場合、
炭水化物(糖質)から摂取すべきエネルギー量は
1,253?1,628kcalであることが分かります。
(小数1位で四捨五入)
炭水化物(糖質)の
適切な摂取量を重量に換算すると、
4で割って
313~407gであることが分かりますね。
(小数第1位で四捨五入)
食物繊維から産生されるエネルギーは
1g当たり0~2kcalですが、
炭水化物において
食物繊維の占める割合はわずかであるため
勘案されていません。

3、食物繊維を十分に摂取する
食物繊維を十分に摂取することも
肥満や生活習慣病の
予防・改善には有効だといわれています。
食物繊維は
炭水化物の一種で、
ヒトの消化酵素では
消化できない成分と
定義されています。
食物繊維は
消化・吸収されずに
大腸まで達し、
便の材料となったり
腸内の有用な菌(善玉菌)を増やしたりして
おなかの調子を整える
作用があることで知られています。
これだけでなく、
食物繊維には脂質や糖、
ナトリウムなどを吸着して
体外に排出する作用があることが
分かっています。
このため、
これらを摂り過ぎることで起こる
肥満や脂質異常症、糖尿病、
高血圧などの予防・改善効果があると
されているのです。
このように
有用な食物繊維ですが、
日本人の食物繊維摂取量は
目標量に遠く及んでいません。
理想的な食物繊維摂取量は
1日当たり
25gであるとされていますが、
日本人の摂取量は
この量に遠く及びません。
厚生労働省が
実現可能性を考慮して設定した
目標量は
以下のとおりです。

食物繊維は
肉や魚などの動物性食品には
ほとんど含まれておらず、
植物性食品に含まれています。
豆類、野菜類、きのこ類、果実類、海藻類、
玄米やそばなどの
穀類(主食類)などから
摂取が可能です。
植物性食品を
意識的に摂取するよう
心掛けましょう。

4、塩分の摂り過ぎに注意する
塩分(ナトリウム)の摂り過ぎに
注意しましょう。
ナトリウムの摂り過ぎは
高血圧の大きな原因として
知られています。
またそれだけでなく、
ナトリウムを多く含む食事は
肥満のリスクも高めると
いわれているのです。
塩気が食欲を増進し、
食べ過ぎにつながるのではないかと
考えられています。
加えて
ナトリウムの摂り過ぎは
腎臓病や
胃がんのリスクも高めます。
このように
ナトリウムの摂り過ぎは
高血圧だけでなく、
さまざまな生活習慣病の発症に
関連すると考えられるのですね。
WHOのガイドラインは
成人に対し、
1日のナトリウム摂取量を
食塩相当量で
5g未満にすることを
強く推奨しています。
※食塩相当量とは
食品に含まれるナトリウムの量から、
そのナトリウムが全て食塩
(塩化ナトリウム)として含まれていた場合の
食塩の量を計算した値です。
ただし
食品中のナトリウムは
塩化ナトリウム以外の形でも存在するため、
実際の食塩含有量と同等とは
限りません。
しかし
日本人のナトリウム摂取量(食塩相当量)は
このガイドラインよりも
かなり多いのが実情です。
このため厚生労働省は実現可能性を考慮して以下のような目標量を設定しています。

高血圧や慢性腎臓病(CKD)の
重症化予防のためには
男女共に
1日のナトリウム摂取量を
食塩相当量で
6g未満にすることが望ましいとされています。
食事は
全体的に薄味を心掛け、
塩分を控えるよう
心掛けましょう。
特に
麺類のつゆ・スープやみそ汁、
加工食品、外食などは
知らず知らずのうちに
ナトリウムを摂り過ぎてしまう
原因になるので注意が必要です。

5、カリウムを十分に摂取する
高血圧予防のためには、
カリウムを十分摂取することも
勧められます。
※カリウムとは
ヒトの体に必要な
必須ミネラルの一種で、
体内では主に
細胞内液の浸透圧を調節する
はたらきをしています。
ナトリウムを
体外に排出させる作用があるため、
高血圧の改善に
効果があるとされています。
特に日本人は
ナトリウムの摂取量が多いため
ナトリウム摂取量を減らすことに加え、
カリウムの摂取量を増やすことが
重要であるといわれています。
WHOのガイドラインは
1日に3,510mg以上のカリウム摂取を
推奨しています。
しかし
日本人のカリウム摂取量は
これよりもかなり少ないという
実情があります。
このため
厚生労働省は成人に対し
以下のような目標量を
設定しています。

カリウムは
野菜や果物などの
植物性食品に多く含まれています。
これらの食品を積極的に
食べるよう心掛けましょう。
生のままで食べるより
加熱した方が
かさが減るため
たくさん食べられるようになりますよ。
ただし
腎臓の機能が低下している方は
カリウムの摂取に制限があるため
主治医に
必ず相談してくださいね。

6、適度に有酸素運動を行う
肥満は
エネルギー摂取量が
エネルギー消費量を上回り続けることによって
起こります。
このためダイエットでは
エネルギー摂取量を減らすだけでなく、
体を動かして
エネルギー消費量を増やすことも
重要になると考えられます。
なかでも
肥満の解消に有効だと考えられるのが
有酸素運動です。
※有酸素運動とは
負荷の比較的軽い運動のことです。
筋肉を動かすエネルギーとして
血糖や脂肪と共に
酸素が消費されることから
このように呼ばれます。
有酸素運動は
脂肪を燃料とするため
直接的な体脂肪の
減少効果があるとされています。
また
有酸素運動は
脂質異常症の改善にも
有効です。
加えて
高血糖や高血圧の改善にも
効果があるといわれています。
有酸素運動に該当する運動には
ウォーキングやジョギング、サイクリング、
エアロビクスダンス、水泳、
アクアビクスなどがあります。
さまざまな運動があるので、
ご自身に合ったものに
できる範囲で挑戦していきましょう。

7、筋トレも併せて行う
有酸素運動に併せて
筋トレも行いましょう。
筋肉量が増えると、
それに伴って
基礎代謝が増えることが
分かっています。
※基礎代謝とは
呼吸や心拍、体温の維持など
生命を保つために最低限消費される
エネルギー量のことです。
筋トレを行って
筋肉量を増やせば、
普段のエネルギー消費量を
増やすことができると
考えられるのですね。
なお、
筋トレによる筋肉量の増加は
糖の処理能力を上げるため、
血糖値のコントロールにも
有効だとされています。
筋肉が育つためには
十分な
回復期間が必要です。
1週間に
2~3回の頻度で、
無理なく筋トレを続けてくださいね。
なお
筋トレと有酸素運動を
同日に行う場合、
先に筋トレを行った方が
有酸素運動による
体脂肪燃焼効果が大きくなると
いわれているので、
意識しておくと
良いでしょう。

8、十分な睡眠をとる
健康のためには
十分な睡眠をとることも
重要です。
慢性的な睡眠不足は
体内のホルモン分泌や
自律神経の機能に
大きな影響を及ぼすことが
分かっています。
例えば、
健康な人であっても、
4時間睡眠を2日続けると、
1日10時間眠った日と比較して
食欲を抑える
レプチンの分泌が減少し、
食欲を増進するホルモン
「グレリン」の分泌が増加したという
研究結果があります。
寝不足が続いていると
食欲のコントロールが失われ
つい食べ過ぎてしまう
かもしれないのですね。
また
慢性的不眠症の患者では、
血圧を上昇させる交感神経の緊張や、
血糖値を上昇させる
「糖質コルチコイド」の
過剰分泌が起こると
いわれています。
実際、
慢性的な寝不足の状態にある人は
糖尿病や心筋梗塞、
狭心症などの生活習慣病に
かかりやすいことが分かっています。
このように睡眠は
健康に
さまざまな影響を及ぼすため
しっかり
睡眠時間を確保することが
重要なのです。

専門家に早めに相談しよう
体重の増加や
内臓脂肪の蓄積が気になり始めたら、
まずは医療機関で
専門家に相談しましょう。
「普段から太っているし、
少しくらい体重が変化しても平気。」と
考えている方も
いらっしゃるかもしれませんが、
長く放置し続けると
病気につながる恐れがあります。
健康診断や
人間ドックで指摘されたり、
久々に会った友人に
言及されることがあれば、
少し気にして
専門家に相談してみましょう。
着れていたはずの服が
きつくなってしまった場合も、
対策が必要です。
普段から関わっている
内科医などの医師に
質問してみるのもおすすめですよ。

まとめ
肥満は
体重が多いだけでなく
体脂肪が蓄積された状態のことです。
国内では
BMIが25以上かつ
脂肪組織に
脂肪が過剰に蓄積された状態と
定義されています。
肥満自体は
病気ではありませんが、
肥満による
合併症を起こしている場合や
そのリスクが高い場合は
「肥満症」と診断され
治療の対象になります。
特に
内臓脂肪が蓄積している場合は
健康への影響が大きいため
注意が必要だといわれています。
肥満はさまざまな
病気の要因になるといわれています。
肥満で発症リスクが高まる
代表的な病気には
高血糖・糖尿病や脂質異常症、
高血圧があります。
また内臓脂肪型肥満や
高血糖、脂質異常症、高血圧は
動脈硬化を進行させるため、
冠動脈疾患や
脳梗塞のリスクが高まります。
肥満と関連して起こる
腎臓病や脂肪肝にも
注意が必要です。
脂肪のつき過ぎが原因で
睡眠時無呼吸症候群や変形性腰椎症、
変形性膝関節症などを起こす
恐れもあります。
女性では
月経異常や、妊娠高血圧症候群、
妊娠糖尿病などの
妊娠時の合併症が起こるリスクも
増大します。
このように
肥満はさまざまな病気になる
リスクを高めてしまいます。
現在
肥満の状態にあるという方は
重篤な病気を
引き起こしてしまう前に、
生活習慣の改善に
取り組んでくださいね。

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