肥満とは?判定基準や原因・健康への悪影響は!

公開日:2025/08/28 / 最終更新日:2025/08/28
肥満とは
「どのくらいの体重になったら
肥満と判定されるのかな?」
一般的には
太り過ぎている状態を表す
肥満ですが、
その基準がどこにあるのか
よく分からないという方も
多いでしょう。
肥満の基準や種類などについて
解説します。
1、肥満の定義と基準
日本肥満学会では、
脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積し
「BMI」が25以上であることを
肥満の定義としています。
※BMIとは
「Body Mass Index」の略で、
肥満や低体重の判定に用いる
指数のことです。
「[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]」で
計算できます。
BMIは
肥満の度合いを表す指標として
国際的に用いられていますが、
肥満と判定する基準は
国によって異なります。
日本肥満学会での
肥満度の分類は
以下のとおりです。

BMI25以上で
減量が必要な健康障害が生じた場合、
(減量によって改善、もしくは進行が抑制される)
または
健康障害になるリスクが高い
肥満である場合に
「肥満症」と診断されます[1]。
また、
BMIが35.0以上になると
「高度肥満」と判定されます。

2、肥満の種類
肥満のタイプには
「皮下脂肪型肥満」と
「内臓脂肪型肥満」があります。
皮下脂肪型肥満は、
皮膚の最も内側にある部分「皮下組織」に
脂肪が蓄積するタイプです。
太ももや
お尻など下半身に蓄積しやすく
「洋ナシ型肥満」とも呼ばれる
皮下脂肪型肥満は、
比較的女性に多いタイプの
肥満であるといわれています。
一方、
内臓型肥満は
文字どおり内臓の周りに
脂肪が過剰に蓄積されるタイプの
肥満です。
下半身よりも
おなか周りが大きくなることから
(ウエスト周り)
「リンゴ型肥満」と呼ばれ、
男性に多いという特徴があります。
BMIが25未満で
肥満には分類されないものの
内臓脂肪の蓄積がみられる
場合があります。
これがいわゆる
「隠れ肥満症」といわれる状態です。
これら二つのタイプの肥満が
健康に及ぼすリスクは
それぞれ異なります。

肥満の要因
肥満の原因といえば
「食べ過ぎ」や
「運動不足」を思い浮かべるという方も
多いでしょう。
確かに
肥満の原因となるものの多くは
食事や運動に関わる
生活習慣だといえますが、
その他にも
さまざまな要因が
複雑に絡み合っているのです。
肥満の要因について
解説していきます。

1、食べ過ぎ
肥満の原因となる
代表的なものが食べ過ぎです。
カロリーと体重は、
以下のような図で
例えることができます。

蛇口から出る水が摂取カロリー、
排出される水が消費カロリー、
水槽の水の増減が体重変化です。
この図からも分かるように、
消費カロリーよりも
摂取カロリーが多くなると
体重が増加します。
食べ過ぎによって
余ってしまったエネルギー(カロリー)は
脂肪として蓄えられるため、
体脂肪の蓄積につながります。
この積み重ねが
肥満を招いてしまうのです。

2、身体活動量の低下
食べ過ぎと並んで
肥満の原因となるのが
身体活動量の低下、
いわゆる運動不足です。
身体活動は、
厳密にいえば「運動」だけではなく
「家事などの日常生活における動きも
(非運動性身体活動)」含まれています。
私たちが消費するエネルギーは
(カロリー)体格や食事量にも依存しますが、
1日当たりの
消費量を考えた場合、
大きく関係するのは
身体活動量です。
そのため
身体活動量が低下すれば、
消費カロリーも減少すると
考えられるでしょう。
消費カロリーが減少して
摂取カロリーよりも下回ることになれば、
食べ過ぎ同様
体重が増えてしまうのですね。

3、早食い
早食いの習慣があると、
肥満になりやすいといわれています。
通常、
食事を始めてから脳に
満腹のサインが伝わるまでには
ある程度時間がかかります。
しかし
早食いをすると
満腹だと感じる前に
たくさん食べてしまうため、
肥満につながると
考えられているのです。
日本人の中年男性および
女性の食生活と肥満に関する
疫学調査においても、
早食いが肥満につながることが
示唆されています。

4、睡眠不足
肥満の原因である食べ過ぎは
睡眠不足とも
関連があると考えられています。
短時間睡眠と食欲に関わる
ホルモンの分泌について
調査した研究において、
肥満と睡眠不足の関連性が
示されています。
この研究によると、
4時間睡眠(短時間睡眠)を
2日間続けただけで、
10時間睡眠(十分な睡眠)のときよりも
食欲抑制にはたらく
「レプチン」が減少し、
食欲を増進させる
「グレリン」の分泌が高まることが
報告されています。
つまり
睡眠が不足することで
食べ過ぎにつながり、
その結果
肥満を引き起こす可能性があると
考えられるのですね。

5、不規則な生活
不規則な生活による
食生活パターンの乱れも、
肥満のリスクを高める要因の一つです。
特に
夜遅い時間帯に食事をすることは、
食事から摂取したエネルギーが
消費されにくく
体脂肪として蓄えやすくなる他、
遺伝子レベルの研究でも
肥満が起こりやすくなると
報告されています。
また、
夜遅くの食事は
翌日の朝食を抜く原因にも
なってしまいます。
朝食を抜くこともまた、
肥満や
生活習慣病のリスクを高めると
考えられているのです。

6、加齢による影響
これは加齢による
筋肉量の減少によるものです。
筋肉量が減少するとそれに伴い
「基礎代謝量」の低下が起こります。
基礎代謝量とは
安静にしているときでも
呼吸などで絶えず消費されている
エネルギー量のことで、
一般的には
筋肉量と基礎代謝量は
比例するといわれています。
つまり
筋肉量が減少すれば
基礎代謝量も減り、
消費されるカロリーも
減少するのです。
また、
筋肉量の減少に伴い
活動量が低下することも
消費カロリーの減少につながります。
加齢による
基礎代謝量や活動量の低下など
複数の要因が組み合わさることで、
1日当たりの
総エネルギー消費量が低下し、
肥満を起こしやすくなると
考えられているのです。

肥満がもたらす健康への悪影響
肥満は
糖尿病や脂質異常症、高血圧症、
心血管疾患などの
生活習慣病をはじめとして、
さまざまな
病気を引き起こしてしまう
可能性があります。
※脂質異常症とは
中性脂肪や
コレステロールなどの
脂質代謝に異常を来した状態のことです。
HDLコレステロール(善玉コレステロール)、
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、
トリグリセリド(中性脂肪)のいずれかが
正常値から外れた場合に
診断されます。
特に
内臓脂肪型肥満は
皮下脂肪型肥満に比べ
健康への悪影響が大きく、
生活習慣病を
発症するリスクが高いことが
分かっています。
内臓脂肪の蓄積に加え、
血圧・血糖・脂質の
三つの項目のうち
二つ以上が
基準値から外れた状態のことを
「メタボリックシンドローム」といいます。
メタボリックシンドロームの
診断基準に使われる脂質の指標は
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)と
トリグリセリド(中性脂肪)です。
メタボリックシンドロームが
問題となるのは、
心臓病や脳卒中などに
なりやすいためです。
日本人の死因の第2位である
心臓病と
第4位である脳卒中は
多くの場合
動脈硬化が原因となって起こりますが、
肥満や高血圧、糖尿病、
脂質異常症は
それぞれ動脈硬化を
進行させてしまいます。
一つ一つもリスクとなりますが、
危険因子が重なれば
その分
動脈硬化が進行しやすいと
考えられるのですね。
放っておくと
重篤な状態に至ってしまう
可能性があるので
早めの対処が
重要だといえるでしょう。
内臓脂肪型肥満が
生活習慣病の発症リスクを
高めやすい一方で、
皮下脂肪型肥満はそのリスクは
低いとされています。
しかし、
皮下脂肪型肥満では
関節痛や月経異常、
睡眠時無呼吸症候群などが
生じやすくなります。
※睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠中に
何度も呼吸が止まってしまう病気で、
睡眠が
十分にとれないことにより
生活習慣病をはじめ、
さまざまな病気の引き金となります。
また、
日中の眠気により
事故の原因となることもあります。
肥満によって
さまざまな悪影響が生じる
可能性があるため、
体重が
肥満の基準に当てはまった場合は、
早めに解消しておくのが
良いといえますね。

体脂肪を減らして肥満を解消する方法
肥満は、
体重が多いだけではなく
脂肪組織に
脂肪が過剰に蓄積した状態です。
つまり、
肥満解消のためには
体脂肪を減らすことが
ポイントとなります。
体脂肪を減らして
肥満を解消する方法をご紹介します。

1、カロリー制限
まずは
摂取カロリーを抑えましょう。
摂取カロリーが
消費カロリーを上回ってしまうと、
余った分は体脂肪として
蓄積され
肥満につながります。
私たちが
活動するためのエネルギー源
(カロリー)となるのは
主に
炭水化物(糖質)と脂質です。
糖質や
脂質から得るエネルギーを
(カロリー)制限することで、
体に蓄えられている
体脂肪が消費され、
体脂肪が減少します。
日頃から
お菓子やジュースを摂取する
習慣があるという方、
揚げ物を
食べる頻度が多いという方などは、
まず
これらを控えることから
始めてみるのも良いでしょう。
また
アルコールの摂取も
カロリーオーバーにつながりやすい
習慣です。
お酒を飲む方は
飲み過ぎないように気を付けたり
飲む量を減らしたりすることも
摂取カロリーを抑える
ポイントとなります。

2、食べ方や食事の内容の見直し
カロリー制限の他にも、
食事内容を見直したり
食べ方に注目したりすることも
重要です。
もちろん
カロリー制限は
体脂肪を減らす上で
まず行うべきことですが、
それだけに目を向けていると
栄養不足に陥ってしまいます。
健康的に体重を減らすには、
バランスの良い食事を心掛けることが
大切です。
具体的には
ご飯やパン、麺類などの「主食」、
肉や魚、卵、大豆製品などの「主菜」、
野菜やきのこ、海藻類などの「副菜」を
組み合わせた食事が
おすすめです。
一つのお膳に
ご飯(主食)とメインのおかず(主菜)、
小鉢(副菜)などが乗った
「定食」をイメージすると
分かりやすいでしょう。
また、
よく噛んで食べることは
早食いによる
食べ過ぎの予防につながります。
一口
30回以上噛むことを目標とした
キャッチフレーズが
「噛ミング30(カミングサンマル)」です。
厚生労働省では
むし歯や歯周病予防、食育、
生活習慣病対策、
高齢者の
噛んだり飲み込んだりする
機能の維持などの観点から、
噛ミング30
(カミングサンマル)を推進しています。
カロリー制限に加え、
バランスの良い食事や
よく噛むことで
食べ過ぎを予防することを心掛けることで
肥満が改善する
可能性があるのですね。

3、有酸素運動
体脂肪を落とすことで
肥満を解消するには、
運動で消費カロリーをアップさせることも
重要です。
なかでも「有酸素運動」は
蓄えられた体脂肪を落とすのに
適した運動です。
※有酸素運動とは
筋肉を動かすためのエネルギー源として、
酸素とともに
体内の糖質や脂質を使う運動のことです。
比較的強度が軽く、
長い時間行えるウォーキングやジョギング、
エアロビクスダンス、水泳やアクアビクスが
有酸素運動に該当します。
有酸素運動で
消費カロリーを増やすには
「楽である」~「ややきつい」と
感じる強度の運動を
1日のなかで合計30~60分、
ほぼ毎日行うのが理想です。
運動量が十分に確保できていれば、
週5日未満にまとめても
問題ありません。
しかし
無理は禁物です。
今まで
運動習慣のなかった方などは
通勤通学や買い物の際に
歩く距離を増やしたり、
なるべく
階段を使うようにしたりすることなどから
はじめてみても良いでしょう。
日常生活での動きに合わせ、
ちょっとした
工夫を加えることでも
有酸素運動ができますよ。

4、筋力トレーニング
有酸素運動と合わせて
筋力トレーニングを行えば、
肥満の改善により効果的です。
筋力トレーニングを行うことで
筋肉量が増えると、
それに伴い基礎代謝量が増え
消費カロリーのアップにつながります。
そのためには
スクワットや腕立て伏せ、
ダンベルなど
筋肉に負荷をかけるトレーニングも
肥満の改善には
重要であるといえるでしょう。
筋力トレーニングなどの
レジスタンス運動は
2、3日に1回程度の実施が
推奨されています[8]。
※レジスタンス運動とは
レジスタンス運動とは
筋肉に負荷を与える動きを
繰り返し行う運動です。
レジスタンス(Resistance)は日本語で
「抵抗」という意味で、
筋肉に抵抗をかけることから
その名がついています。
筋力トレーニングは
レジスタンス運動に該当します。
筋肉に
負荷のかかる運動なので、
無理のないペースで
行ってくださいね。

生活リズムを整えて肥満を解消する方法
睡眠不足や
不規則な食事時間など、
生活のリズムが乱れてしまうことも
肥満の要因となることが
あります。
生活リズムを整えることで
肥満を解消する方法をご紹介します。

1、十分な睡眠時間を確保する
十分な睡眠時間を確保したり
睡眠の質を
高める工夫をしたりすることで、
肥満の改善につながる
可能性があります。
睡眠不足や不眠は
食事や運動などの生活習慣の乱れの
引き金となったり、
食欲をコントロールするホルモン
「レプチン」や「グレリン」の分泌に
影響を与えたりします。
しかし、
十分な睡眠といっても
長ければ長いほど
良いというわけではありません。
「じゃあ、どのくらい睡眠をとれば良いの?」
と疑問に感じてしまいますよね。
実は
適切な睡眠時間は人それぞれで、
基準はありません。
睡眠が
十分にとれているかどうかの目安は、
日中に眠気がなく
快適に過ごせることです。
自分に合った
睡眠時間を見極めることで、
肥満の改善につながる
可能性があるのですね。
十分な睡眠時間とともに
重要なのが
「睡眠の質」です。
睡眠の質を高めることは、
心身の休養のためには
欠かせません。
仕事などで
あまり睡眠時間を確保できないという方は、
睡眠の質に
注目してみるのも良いでしょう。

2、食事のタイミングをなるべく一定にする
シフトワークなどで
生活パターンが一定でないという方も
いらっしゃるでしょう。
生活パターンの変化に伴い
食事のタイミングが
大きくずれてしまうと、
肥満をきっかけとする生活習慣病の
発症リスクが
高まると考えられています。
特に
夜遅い時間の食事は
血糖値を
(血液中のブドウ糖濃度)
上昇させやすく、
糖尿病の発症リスクが高まることが
報告されています。
このような
リスクを回避するためには、
なるべく
食事のタイミングを一定にする対策を
考えておくことが大切です。
勤務時間に合わせて
食事の摂れるタイミングを考え、
通常の食事時刻と大きくずれないように
可能な範囲で
調整してみましょう。
しかしそうはいっても、
勤務の都合で夜間に
食事をせざるを得ないことも
ありますよね。
そのような場合は、
食事内容に
気を配ることが大切です。
夜間の食事では、
血糖値が上昇しやすい
糖質主体のご飯やパン、
麺類だけの食事は避け、
肉や魚など
たんぱく質主体のおかず「主菜」と
野菜類のおかず「副菜」を
組み合わせるようにしましょう。
また、
1日3食を意識して
欠食しないようにすることも
重要です。
1日に摂る食事の回数が減ると、
1食当たりの食事量が増え、
体重増加につながる
可能性が高まります。
食事回数が
少なくなりそうなときは、
1食分を複数回に分けて食べる
「分割食」を取り入れるのも
おすすめです。
食間が空き過ぎて
食べ過ぎてしまうことを考えれば、
勤務時刻によっては思い切って
食事回数を増やしてみるのも
一つの方法でしょう。
ただし、あくまでも
「1食分を分割」して食べるのが
分割食であることを
忘れないでくださいね。

まとめ
体重が多いだけではなく
脂肪組織に
脂肪が過剰に蓄積した状態が
肥満です。
肥満には
皮下脂肪型肥満と
内臓脂肪型肥満があります。
この二つのタイプの肥満は
それぞれ
健康への影響が異なるものの、
どちらも
健康に悪影響をもたらします。
特に
メタボリックシンドロームや
生活習慣病との関連が大きいのが
内臓脂肪型肥満です。
一方、
皮下脂肪型肥満では
関節痛や月経異常、
睡眠時無呼吸症候群が
生じやすくなります。
肥満は
食べ過ぎや運動不足が
主な原因となるため、
食事や運動に気を配り
摂取カロリーよりも
消費カロリーを増やすことが
肥満解消のポイントです。
他にも
十分な睡眠時間を確保したり、
不規則な生活を改めたりすることで
肥満を解消できる
可能性があります。
肥満を解消するポイントを押さえて、
健康的な体づくりを
目指してみてくださいね。

PR
「40代のダイエット」カテゴリーの関連記事
「ダイエットの方法」カテゴリーの関連記事
「実践できるダイエット」カテゴリーの関連記事
「生活リズム」カテゴリーの関連記事
「痩せるコツ」カテゴリーの関連記事
「肥満とは」カテゴリーの関連記事